春の雨の日に

ぜんぶが始まって、ぜんぶが終わった。

夏のお昼

久しぶりに太陽が1番高い時に

外に出た。

日傘をさすと日傘の陰で

自分がすっぽりとおさまる。

日傘越しでも太陽の熱が

ジリジリと皮膚を触れた。

 

綺麗な印象のない家の近くの川も

太陽の光を反射して

チカチカしていた。

 

昨日起きた私にとっての大事件は

私以外の人生はなんの影響も与えず

私だけに大きな顔をして

体ひとつずつ食べていくように

侵していった。

 

このままこんな風に

繰り返して、繰り返して

一生幸せになんかなれないのだろうか。

私はただ普通に平凡がほしくて

ただ、それだけなのに。

 

 

 

 

夢の皆勤賞

長い夜のお供はみんな眠ることが多いと思う。

私もそうで、長くたくさん眠らないと

次の日まで引きずる。

 

長くたくさん寝ないといけないのに

毎日欠かさず夢を見る。

 

幸せな夢であったり、

日常を切り取ったようなものであったり、

疲れてしまうほど怖い夢であったり。

 

その日の気分とは

特に関わりがなさそうな夢ばかり見る。

 

幼少期から続いているのでよくもまぁ

ネタ切れしないものだ、と

感心することもある。

 

白い人に相談すると

「これを飲むといい」って

薬が渡された。

 

私は毎日見る夢とさよならできると

わくわくしながらその日眠りについたけど

あいかわらずの皆勤賞。

しかも金縛りというおまけ付き。

 

私は膨れながらもう一度白い人を訪ねた。

「ことごとく、ダメだったようですね。

申し訳ない。

次はこれを飲んで見て」

と、別の薬を渡された。

 

 

「この薬は飲むと苦いから、驚かないでね」

って何度も言われた。

でも飲む時たくさん水を口に入れておいたらいいんじゃないか、と思った。

特に気に留めていなかった。

 

その後女の白い人に手渡されるときも

「この薬は苦いから気をつけて」

と、言われた。

水をたくさん口に入れて入ればいい

そう、心の中で言い返した。

 

その夜それを飲む時が来た。

一粒からと言われたが

「大人は二粒からだ」

と書いてある説明書が白い人の手の下からはみ出ていたのを見てしまっていた。

「大人は二粒からだ」

私は迷わず水をたくさん含んだ口に二粒入れた。

 

全く苦さを感じなかった。

 

なんだ、心配性だなぁ。

私はもう大人なのだ。

多少の苦さも美味しい年頃になっているはずだ。

やった、やった、勝ったぞ。

 

そう思いながら眠りについた。

 

 

 

朝日が部屋に降りそそいで目が覚めた。

なんとも言えぬ不快感。

夢は相変わらず皆勤賞で、

口の中がどうしようもないくらい苦かった。

薬の効果が切れていないのか

まだまだ眠い。

でも耐えられない苦さで

私はとりあえずアメをほおばり

また眠りについた。

 

 

なるほど、こういうことだったのか。

飲んだのに戻ってくるのか。

防ぎようがないじゃないか。

 

長い夜と苦い夜に負けないようにしなければ。

夢の皆勤賞は思ってるよりずっとしぶとい。

 

冬の海

夏の景色はカラフルで

とても色鮮やかだ。

 

だから

だから?

冬の海に行きたい。

 

冬の海はきっとどんよりしている

冬の海はきっと静かだ

冬の海はきっと凛と冷たい

そして冬の海はきっと不機嫌だ

 

冬の海を見ながら

コートとマフラーと手袋で

モコモコになって

ギターを弾いて歌いたい。

普段は弾かない拙いギターと

冷たい空気でのどはしまるから

とてもひどい演奏になるんだろうな。

 

すると海はきっともっと

不機嫌になるだろうから

真っ赤な風船をお土産に持っていくよ。

 

 

 

ごはん

ごはんを食べないと

いつかしんでしまうのはわかっています。

 

でも一口食べるとどきどきして

息がうまくできなくなる。

そのあとだんだん体が動かなくなって

スポーツしたあとみたいにぜえぜえなる。

 

なんとなく

それとなく

目を背けてたら悪化して

人生で初めて

おやすみをもらうことになりました。

 

ごはんを食べないととてもしんどい。

でも無理やり詰め込むとぜえぜえ。

 

食べられるようになるお薬を飲むと

眠気で仕事どころではなくなってしまう。

 

もらったおやすみは少し長いので、

日記がわりに始めようと思います。