春の雨の日に

ぜんぶが始まって、ぜんぶが終わった。

6:14

朝焼けと雨上がりの匂いで

秋の気配がする。

 

季節はどう背伸びしたって

まだ真夏だ。

 

でも、空気の温度、匂い

湿っぽさはまるで冬を待ちわびた秋のようで

それはただの偶然で

ここに居合わせられたことが

とても幸運なことな気がした。

 

風が少し強くなって

焼けたパンの匂いを運んできた。

誰か知らない人の家で朝が始まっている。

そしてそのいい匂いに焼けたパンは

きっと誰かを笑顔にしている。